テストが苦手なのではない。「覚えた情報を、頭の中から再び取り出す方法」を教わっていないだけ

オールラウンド渡辺です。
今日は授業のない日で塾はお休みでしたが、昨日に投稿したメンタルサポートの件で、たまたまアイルランド人ミュージシャンの知り合いがFacebookで面白い関連記事を載せていたので、自分の考えも加えつつ大まかな内容(塾で活かせそうな)を備忘録として下記に載せておきたいと思います。

APLaC(海外生活でお世話になったオーストラリアのエージェント)のホームページで毎週更新されているエッセイの中にあった「不安を変換したり、不安を希望で上書きすることはできるだろ?って。未来の不確定性という本質は同じなんだから、視点一つの差に過ぎない。だったらそれを原理にしたシステムを組んでしまえばいいじゃんかって話です」という部分にも大きなヒントがあるように感じましたので、引き続きいろいろと考えて試していきたいと思います!

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5 Strategies to Demystify the Learning Process for Struggling Students

https://ww2.kqed.org/mindshift/2017/11/20/5-strategies-to-demystify-the-learning-process-for-struggling-students/?utm_source=facebook.com&utm_medium=social&utm_campaign=npr&utm_term=nprnews&utm_content=2053

【内容意訳】

・「物事を一発で理解できない自分は、頭が悪い」という自己評価をしてしまう生徒にはその考え方を改めさせ、彼らに「早く覚えられる人だけがテストでも毎回勝つとは限らない」ということを教える必要がある。

・脳の使い方を理解せずただ闇雲に勉強をしたままでいると、「自分はこの教科が苦手だ」とか「頑張ったところでどうせまた上手くいかないのではないかと、何に対してもそう感じてしまう自分になってしまっている」といった感じで、学習者としての自分に対し間違った概念を膨らませてしまう可能性が出てくる。

・例えば自分が「よし、テストの内容はシッカリ覚えた。これで大丈夫だ」と思ったのに、いざテストになると覚えたハズの情報が頭の中から出てこない。こうしたことを繰り返していくうちに、テストによって毎回受けるストレスから「テストが苦手だ」という意識をもってしまう。

・しかし、彼らはテストが苦手なのではない。ただ「覚えた情報を、頭の中から再び取り出す方法」を教えてもらっていないだけなのだ。

『脳が物を覚える5つのメカニズム&テクニック』

その1
「ハイキング脳」と「レーサー脳」

・脳には「集中思考」モードと「拡散思考」モードがある。全く新しい概念を一から深く理解しようとする際には、「集中思考」モードのみでは不十分である。

・「拡散思考」モードとは、ボーっとしたり空想にふけったりしている状態のこと。
一見このモードは学習行為を阻害するので避けるべき状態だと誤解されそうだが、実はこの「拡散思考」モードのときに初めて、これまで覚えた新しい情報というのは脳内で整理されるのである。
※この「新情報の脳内定着」だけでなく、「拡散思考」モードによって「自分がそもそも何を学ぼうとしているのか」というところからシッカリと理解することができる。

・全く新しい物事をこれから充分に理解しようと思うのであれば、そのためにはこの「集中思考」と「拡散思考」を何度も行ったり来たりしなければならない。
そもそも一発ですぐには理解できないのである。

・このように「拡散思考」モードも成績アップにおいては決して欠かしてはならないものなので、生徒にはゲームをさせたり散歩をさせたり絵を書かせたり寝させたりと、新しく覚えた情報の整理が頭の「裏方」で自動的に行われるような、「拡散思考」モードを誘発させるためのリラックスタイムを奨励する必要があるのである。

・世間では「より短い時間で覚えられる人=賢い人」だと思われているフシがあるが、「ハイキング」と「レーサー」について考えてみると、賢くなることについてまた違った見方ができる。

・「レーサー(←早く覚える人の意)」も「ハイキングする人(←ゆっくり覚える人の意)」も、向かうべきゴールがあるという点では同じである。
しかし、レーサーはゴールまでとんでもない速さで着いてしまいゴールまでの道中に現れるものをいちいちジックリと捉えたりすることはできない。
反面、ハイキングする人はゴールまで比較的ゆっくりと時間がかかる分だけ鳥のさえずりや木々の葉の様子など道中に現れるものをジックリと味わうことができるため、見方によってはレーサーよりも深く豊かな経験を得ることができる。その点において両者は異なっている。
ゆっくりと時間をかけることによって、物事をさらに深く理解することもできるのである。

その2
「一連の作業手順の自動化」

・車のバック運転やバック駐車をしたことがある人は想像しやすいと思うが(自転車の運転についても同じようなことが言える)、初めて挑戦したときにはハンドル、ブレーキ、アクセル、ミラーなど一つ一つのステップをそれぞれに意識的に行いさらにそれらの各ステップをどの順番でどう活用すればよいのかイチイチ意識的に考えていたのが、いつの間にか各ステップごとの動きが一つずつ自動化され、その覚えたステップを適用させることにより複雑な応用ステップも扱えるようになり、さらにそれらの複数ステップが一つに繋がっていって、最終的には頭を別段使わなくても全てが自動的にできるようになっている。

・数学に関してもそれと同様のことが言え、方程式(1つ以上の変数を含む等式)の解き方を一つ一つ意識的にやっていたものが徐々に自動化できるようになると、それを適用することによってさらに複雑な問題にも挑戦できるようになる。

・どんな分野に関した勉強をする際にも、このように一連の学習手順をより滑らかなものへと発展させることによって、より複雑なレベルへと進んでいくことができる。


その3
「知ってるものに置き換える」

・全く新しいことを覚えるときに一番いい方法は、すでに知ってる「似たもの」に当てはめて覚えてしまうというやり方である。

・「すでに知っている」というのは、すなわちそれをすぐに理解、説明できるような脳神経の回路がすでに出来上がっているということなので、新たな物事を覚える際にも、わざわざ新たな神経回路をまた一から苦労して構築しようとするのではなく、「すでに知っている、似たもの」を覚えたときに作り上げられた既存の神経回路をそのままお借りすればよい、という発想である。

その4
「タイマーを使った効率的学習法」

・「目標を設定する」→「25分間、目標達成に向けて頑張る」→「5分休憩を取り、立つ、歩き回る、水を飲むなどでリラックスする」→「この25分インターバルを3~4回くり返す」→「15~30分間の休憩を取る」

・上記テクニックを取り入れることによって、「集中思考」と「拡散思考」の切り替えも上手にできるようになるし、また「最後は必ずリラックスするようにする」という作業が物を覚えるためには欠かせない、ということを身をもって感じることができる。

その5
「無限の可能性」

・「自分の興味のあることと、興味のないこと」は、あらかじめ決まっているわけではない。
「興味のもてること」は、増やしていくことができるのである。

・「自分の興味のあること、ないこと」が初めから決まっていると思ってしまうと、「簡単に手に入るもの」や「既に得意なもの」だけに興味の焦点が当たってしまいがちになってしまうが、実際には私たちはそれ以外にもまだまだたくさんのことに興味をもてるし、得意にもなれるのである。