※写真は、高1生Hさんからの質問の解説
--------
『力の発揮』と『主体性』の関係について
オールラウンド渡辺です。
まず初めに、「『力の発揮』と『主体性』の関係」について、興味深い記事があったので、下記にて一部引用します。
引用元:
だから自衛隊は「上意下達」の組織から脱却した
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20170313-OYT8T50053/4/
(引用文)
『ピラミッド型組織の代表格と見られがちな自衛隊が、「上意下達」型からの脱却を進めている。官僚制に縛られた組織では、複雑化する一方の現代の任務に対応できないことが背景にあるという。
《中略》
企業で働いている方は、自衛隊組織について、どんな印象をお持ちだろうか。おそらく、多くの方が最初に思い浮かべるのは「軍隊式」という言葉に代表されるような、上官の命令が絶対的な意味をもつ「上意下達」の組織風土ではないだろうか。それは完全な誤りとは言えないが、現在の自衛隊組織を鑑かんがみると、大いに正確さを欠いた認識だということになる。
軍事組織といえば、ピラミッド型で、厳正な規律があり、マニュアル重視の画一性という硬いイメージが一般的だろう。だが、究極の局面である防衛出動はもちろん、現代の自衛隊が直面する災害派遣や後方地域支援の活動においても、そのような旧態依然とした組織では立ち向かえない。もはや「いわゆる軍隊式組織では勝てない」時代なのである。
進化を怠った種は、地球環境の変化に対応できなかった恐竜のように滅んでしまう。そんなダーウィンの進化論を組織経営に採り入れたのが、「環境適応理論」だ。自衛隊組織も例外ではなく、“恐竜”にならないための進化を続けている。
《中略》
実務でも、部下からの提案があったとき、頭ごなしに否定するような態度は、よしとされない。ごく当たり前の光景として、「なぜそう考えるのか、説明しろ」という問いかけがあるのが一般的だ。これに答える部下の側も、「前例の通りです」「規則に書かれています」という返事は許されない。』
(引用終了)
--------
部活や学校や家庭で「上意下達色の強い教育」を受けてきた学生は、自分の意見をもったりその意見を論理的に伝えたりする訓練機会を、大きく失っていると考えられます。
なぜなら、「上意下達」はその字の通り、上の意見が絶対で、下は「意見をもってはいけない」から。
では、ここで
・自分の考えが『上』と違っていたら、必ず『上』からものすごく嫌な目に遭わされる。
・そもそも自分の考えを言ったら、必ず『上』からものすごく嫌な目に遭わされる
という状況を設定してみます。
もしあなたがそんな状況で「立場的に『下』の者」だったら、あなたは時とともに自分がどういう行動をとるようになると思いますか?
自然な発想でいけば、おそらく多くの方が、「少なくとも『上』の前では、自分の意見や考えをもたないようになる」と答えるのではないでしょうか。
大学受験では、
「文章を読み、複数の解法を思いつく」
「複数の公式を、正しい順番で使用する」
「実験(場合分け)を通して、意味を成す組み合わせを選別する」
などといった、高度な思考作業が求められます。
さらに、「小論文」、「面接」、「自由英作文」などになると、もはや正解(唯一解)がないという、さらに高次の論理力がないととても太刀打ちできないようなハイレベルな戦いを強いられることになります。
さて、ここで「大学受験で求められる、高い論理的思考力を養う」という「目的」があったとき、会話で返事が「はい」だけとか、意見を求められても「え?あぁ…」としか答えられないように育てる教育「手段」というのは、果たして「目的」に合った「手段」と言えるでしょうか。
僕は、その手段は「目的に対するベストな手段ではない」と考えます。
--------
僕が塾という立場で行うことは、
「よその教育手段に文句を言ったりその教育手段を変えさせたりすること」
だとは考えていません。
僕が塾という立場で行うことは、
「うちの塾生が『主体的で高い論理的思考力』を身につけられるように、サポートすること」
だと考えています。
もちろん、オールラウンドでも、入塾時点からすでに論理的で大人顔負けの受け答えができたり、「どういう風に塾を活用するのが自分の成長にとってベストか」を主体的に考え実践できるような塾生は、多くはありません。
入塾後しばらくは「はい」や「え?あぁ…」としか答えないような生徒も決して少なくはないし、「自身にとってベストな塾の活用法」を主体的に考えたり実践したりせず、しばらくはただ「与えられること」や「強制されること」を待っているかのような「指示待ち姿勢」の生徒もいます。
この初期段階で何かしら強制をしてしまうと「塾生の指示待ち姿勢が改善されず、大学受験を乗り越える力がしっかりとはつかない」と僕は考えるのでこの初期段階のうちは強制をしませんが、そうすると塾生もしばらくは「ラッキー」といった反応をしたり、かと思えば次第に「先生が強制してくれない」といった様子で、機嫌を損ねた反応をしたりします。
しかし、前回のブログでもあげた通り、それでもなお強制・圧力をかけない環境を続けていくと、遅かれ早かれ生徒は強制されないことに退屈し始め、自ら「主体的に」勉強をし始めるようになります。
そして、この段階以降でさらに、彼らの主体性を伸び伸びと育てるためのいろいろな言葉がけやサポートを続けていくと、最終的に塾生たちは何も強制されなくとも
「外部からのプレッシャーに晒されず」
「リラックスかつ集中している状況で」
「自分の頭を使って」
勉強するようになります。
※この環境は、2019年5月9日のブログで述べた「高校以後に必須の力」を育てる環境です。
--------
以上、この一連の流れを通した上で、結果(現時点での)はどうなったのか。
「点数的な結果」については、今年のセンター試験の結果など、「オールラウンドwebsiteのトップページ」の通り。
30~50%の得点率だった受験生たちが何人も受験本番で70~90%を取り、高1高2の成績も塾websiteの「合格実績・学習実績」ページの通り、100点満点を含む好成績を何人もが達成するようになっています。
※今回の中間考査では、三重高(特進)を含み、100点満点の生徒が3人でました。
「環境的な結果」については、学年を問わずほとんどの塾生が「うるさいと気が散る(腹が立つ)」といった雰囲気を出しており、こちらから強制することはほとんどないのに授業時も自習時も教室はとても静かで各々が思い思いにそれぞれ勉強したいことを深めています。
これまで集中力に欠けていた塾生たちも、強制されずとも明らかに勉強意欲を上げています。
--------
とくに高度な思考力を鍛える場合、「やる気のないとき」と「やる気のあるとき」とでは、伸び率にものすごく差が出ます。
生徒の「やる気のあるとき」が来るのを待つのは生徒本人も本人以外も大変ですが、本人以外がその生徒のやる気を出すよう促しても、効果がなかったり、逆にその生徒の『やる気のない』状態を長引かせてしまうことがあります。
原因の一つはおそらく、その生徒から「『やる気のない状態』に飽きる機会」を奪ったから。
逆説的ですが、「相手にやめてもらいたいこと」があったとき、むしろ相手が飽きるまで自由にそれを続けさせることにより、「やめろ」と強制するよりもずっと早くやめさせられるようになる、といった心理構造が存在します。
(心理的リアクタンスの応用)
同様に、勉強でも、学生は「やる気のない状態」を飽きるまで自由に続けることにより、他人から強制されるよりもずっと早く「やる気のある」状態になる、といった心理構造があります。
オールラウンドでは、まずは勉強に対する
「強制的にやらされるもの」
「面白くないもの」
といったネガティブなイメージを塾生たちから払拭し、逆にそのイメージを
「学びたいことを自分自身で自由に探したり選んだりでき、その知識をどんどん深めていける機会」
「そうやって頑張った分だけ、結果が出せるもの」
といったポジティブなイメージへと変えていきます。
なぜなら、そうすることによって、
・「他人の指示がないと動けない」といった生徒の「指示待ち姿勢」が、次第に薄れていく。
↓
・そしてその代わりに、「主体的・能動的に思考するための土台」が、生徒の中で徐々にできあがっていく。
↓
・そしてその土台によって、「工夫・試行錯誤・改善」といったような、今後の社会生活でますます必要となる「批判的思考力」や「問題解決能力」を生徒が身につけていけるようになる。
と信じているから。
--------
以上のような教育手段は、短期間で結果があらわれるとは限りません。
また、途中で断念するとすべてが水の泡となるため、忍耐を要します。
重要なのは、最終的に結果へと結びつける、「ロジック・ビジョン」
それがメジャーかマイナーかは、関係ありません。
今回含む今年度のブログで述べてきたこれら一連の「ロジック・ビジョン」によって、これまでの卒塾生たちが達成してきたような大きな成長を、塾生たちはこれからも高い確度で実現させていくでしょう。
塾websiteのトップページでも述べていますが、オールラウンドでは「慣習」よりも「ロジックと検証」を重視し、それによって、これからも周囲の想像を超えるような実績を出す(成長を遂げる)生徒が次々にあらわれると信じています。
本質を見極め、小手先ではない「本物」の力をつけていくためのサポート。
オールラウンドの目指す教育は、そこにあります。
終身雇用の終焉やAIの台頭といった先の見えない時代で、ただ受動的に翻弄されるのではなく、能動的に自分の人生を切り開いていく力を鍛えるためのサポートを、今後も考えていきます。