※写真は、高3生R君の質問への解説
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「この問題が分かりません」
「何をしたらいいですか?」
「○○(先生・上司など)にはこうしろと言われてますが、どうしたらいいですか?」
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上のような質問を人がしているとき、その質問者の頭の中は一体どうなっているのでしょうか。
僕はこういった質問を受けたときに、以下のような思考が脳裏をよぎります。
「その質問者の頭の中で『すでに行われていることが望まれる準備作業』がいくつかあるにもかかわらず、それらが行われていない可能性があるな…」
それらの準備作業とは、一体どんな作業でしょうか。
以下に挙げていきます。
【「この問題が分かりません」と質問する前に、すでに行われていることが望まれる準備作業】
(i)
たとえ全体を完璧に理解することができなかったとしても、せめて部分的に理解できそうなところはできる限り自力で理解しようと試みる作業
(ii)
「分かりません」と質問している問題のうち、『すでに理解できている部分』と『まだよく理解できていない部分』(以下、両部分)を仕分けする作業
(iii)
その両部分を整理して、質問相手へ「今回問題が生じているのは具体的にどの部分なのか」を分かりやすく伝える作業
【「何をしたらいいですか?」と質問する前に、すでに行われていることが望まれる準備作業】
(i)
「何をするのが自分にとってベストだと思うか」という意見を考える作業
(ii)
(その意見自体を考えることができない場合は)「なぜ何をしたらいいか分からないか」について、その理由を考える作業
※(例)「目標をそもそも決めていないから」、「目標は定まっているが、目標達成へのベストな方法が思いつかないから」、など
【「○○(先生・上司など)にはこうしろと言われてますが、どうしたらいいですか?」と質問する前に、すでに行われていることが望まれる準備作業】
(i)
「どうするのが自分にとってベストだと思うか」という意見を考える作業
(ii)
(その意見自体を考えることができない場合は)「なぜどうしたらいいか分からないか」について、その理由を考える作業
※(例)「目標をそもそも決めていないから」、「目標は定まっているが、指示されている方法がベストな方法なのかどうかが判断できないから」、など
これらの作業は、たとえば会社員や経営者など「高度な能力で利潤最大化行動を行う立場」になるときには、かならず習得しておかなければならない作業となります。
なぜなら、これらの作業を皆がマスターしているほど、お互いへの意思伝達の量・回数が少なくて済み、その分だけ無駄な時間や労力をカットできて利潤をより大きくすることができるから。
こんな風に書くと、「なにも高校生にそこまで求めなくても…」といった意見がもしかしたら聞こえてくるかも知れませんね。
しかし、これらの作業は決して大人になるまで身につけるのが難しいものではなく、むしろ基本的には誰でも、物心ついて以降であればいつでも習得できるものだと僕は考えています。
ましてや高校受験をクリアできた高校生であれば、能力的に言って、まず問題なくマスターできる作業であると言えるでしょう。
欧米では小さいころから「自分の頭を使って意見を述べる訓練」が行われており、結果スタンダードとして身についている冒頭の作業ですが、そんな欧米と比較すると悲しいかな「議論する力が弱い」と評されている通り、実際に今の日本では必ずしもこれらの作業がスタンダードとして習得できているわけではありません。
そして、そんな日本社会自身が「アクティブラーニングへの移行」や「新社会人の即戦力化」を声高に叫ぶのであれば、むしろこれらの作業こそ小さいうちから必修化するなどして、学生たちに早急にマスターしてもらう必要があるのではないでしょうか。
僕はそう思います。
ちなみに、これらの作業をマスターすれば、以下のような大きな利点があるとも僕は考えています。
【利点】
「せっかく質問したのに、分からなかったところが結局理解できないままだった…」といった残念な結果を、最小限に食いとどめることができる。そして、それによって
→学生ならば、スムーズに学力を伸ばせる。
→より的確な行動がとれるようになり、無駄なミスやストレスが減る。
→改善・修正がより速いサイクルで回せるようになり、能力・幸福・収入などといった面でより強いプラスの循環を生み出せるようになる。
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2019年7月2日のブログでも述べましたが、僕が塾という立場で行うことは、
「よその教育手段に文句を言ったりその教育手段を変えさせたりすること」
だとは考えていません。
僕が塾という立場で行うことは、
「うちの塾生が『主体的で高い論理的思考力』を身につけられるように、サポートすること」
だと考えています。
ただし、この考えに共感してくださるような指導者にとって少しでもお役に立てることがあれば幸いですので、オールラウンドではこれらの作業をどのように習得へと導いているのか、その例を以下にいくつか挙げてみたいと思います。
(過去に書いたことの重複もあります)
【オールラウンドで上記作業を鍛えるために心がけていることの例】
・(塾生の)講師への質問の仕方は、極力「解説のここまでは理解できたが、その次のところでなぜこんな風に話が飛んだのか、理解できない」や、「解答はこのようになっていたが、自分が書いた答えも間違っていないように思う。まず、自分の書いた答えは間違いになるのか。次に、もし間違いになるのなら、なぜそれが間違いになるのか(どう間違えているのか)を解説してほしい」といった形にするよう塾生へ指導する。
・各高校の定期テスト前に、前回の成績と照らし合わせつつ今回の「科目別の成績目標」を塾生からヒアリング。そして、成績アップ目標の科目については、「前回からどう手段を変えて目標を達成するつもりか」もヒアリングする。(必要であればアドバイスを入れる)
・受験生から、月別→週別の「塾指定テキストの学習目標」をヒアリングする。(同上)
・何かを塾生に解説したり情報提供したりするときは、直後に極力「この解説(or 情報)に対して、どう思うか(思ったか)」を塾生からヒアリングする。
など
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といった感じで、オールラウンドでは何よりもまず第一に、
『はい』や『いいえ』だけでは返答終了ができないような質問機会
を極力多くつくるように心がけています。
そして、さらにその上で第二に心がけていることも実はあります。
それは、
「塾生の発言する意欲」をそいでしまうような発言や方向づけを、ウッカリこちらからしてしまわないようにすること。
とくに意識して自制していることは、
塾生自身が心から納得して「そうしたい!」と思えるような理由をこちらがまだ与えられていない段階にもかかわらず、「塾生の意見とは違う意見」に彼らを従わせようとすること。
この点はとくに気をつかいながら、ウッカリそうしてしまわないよう自制しています。
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もし理由を説明した上で塾生が「そうしたい!」と思わなかったのであれば、それは「その理由の方に問題がある」と自戒するよう心がけています。
そんな風に書くと、
「子どもを甘やかしすぎだ」
「まだ社会のことを何も分からない子どもに『正しい方向づけ』をすることこそが教育じゃないのか」
「そんなに子どもの自由な発言を尊重していたら、きっと子どもは勉強しなくなるに決まっている」
といった意見がもしかしたら聞こえてくるかも知れませんね。
しかし、冒頭の、
「この問題が分かりません」
「何をしたらいいですか?」
「○○(先生など)にはこうしろと言われてますが、どうしたらいいですか?」
といった質問を学生がしてしまうのは、まさに教師や親が言うその"正しい方向づけ"によって
学生たちの「自分自身はこう考える!」と言う意欲
をそぎ、彼らの発言機会を奪ってきた結果なのではないでしょうか。
さらに言うと、これまで学校や家庭で先生や親から一方的に方向づけをされてきたような、そういう学び方しか知らない人間は果たして、これからのグローバル化やAI台頭の時代を乗り越えるのに適した人間なのでしょうか。
僕はそうは思いません。
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さて、ではここでオールラウンドの塾生たちは、これまで述べてきたオールラウンド流のトレーニングを受けて実際にどうなったのでしょうか。
以下にいくつか挙げます。
(※現在はオンライン授業に変更中のため、変更するまでの話です)
・2年前の入塾当初は塾をサボったり寝てばかりだった塾生が、今ではこちらから一切強制せずとも授業以外の日を含めほぼ毎日塾へ来て勉強するようになった。
・1年前の入塾当初は「塾生から要望がないかぎりは強制的な課題を与えない塾のシステム」に困惑し、何を勉強すればよいか分からないといった様子であった塾生が、今では高校内で総合成績1位となり、この塾生の保護者からも「家で本人が『塾が気分転換になる』と言っていた」と言っていただけるくらい、自分自身で能動的かつ戦略的に勉強するようになった。
・1年前の入塾当初は質問の仕方が分からなくて質問の度にオタオタしていた塾生が、今では「ここまでは意味が分かったが、この次のところが何でこうなるのかよく分からない」といった感じで、「ピンポイントで知りたい部分」をより質問相手へ分かりやすく質問できるようになった。
といった感じで、高2生、高3生など「オールラウンドに1年以上いる塾生」はだいたい「冒頭の作業」を身につけ、自分の考えを言ったり自分で目標を設定して粛々と目標達成行動を進めたりしていけるようになっています。
新高1生など「オールラウンドに来て間もない塾生」に関しては、もちろんこの「質問の仕方」や「塾のシステム」に順応できるまではしばらく困惑してしまう人も何人か出てきます。
が、現在は塾生全体のうち「既に順応できている塾生」の割合が非常に高くなってきているため、順応前で困惑している塾生もそういった順応済みの塾生たちに囲まれながら勉強しているうちに、「周りがそうしているのなら」といった感じで時間とともに少しずつ順応していき、このようにしてほとんどの塾生が徐々に「冒頭の作業」をマスターしていきます。
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今回のブログは以上です。
いろんな教育法があってよいと思いますが、オールラウンドがどんなカラーで教育しているのか、今回は学生の
『自分の頭を使って課題を解決する力』
を切り口に述べてみました。
引き続き、塾生たちが卒塾後もたくましく生きていく力をオールラウンドは鍛えていきます。